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アイスランドでGolden plover(ヨーロッパムナグロ)の観測

アイスランドでGolden plover(ヨーロッパムナグロ)の観測はアイスランドでもっとも重要な春のニュースの一つとされています。2018年は先日3月28日に南アイスランドのSelfoss(セルフォス)にて最初の一羽が観測されました。これは1998年以降は毎年3月23日頃に観測されてきた記録があり今年は近年に比べ数日遅い観測となりました。

- 観測は週一番の特報 -

なぜこの渡り鳥の観測が重要なニュースなのかというと、この鳥の観測=春の訪れという意識が伝統的にアイスランド国民の意識に根ざしているからです。昔は子供たちが春が近づいてくるとその鳴き声を聞くために外を走り回ったとも言われていたようです。またムナグロほどアイスランドで愛される鳥はいないとも言われます。このニュースは仕事中の人々のコーヒーブレイク、子供たちの学校での話題として当たり前のように話されるのです。

もしも春季、夏季にアイスランドを訪れる際はその鳴き声に注意してみてください。小さく「トゥートゥー」というような鳴き声です。ムナグロはレイキャビク市内でも観察でき、中心地にあるStjórnarráðið(スチョルナルラーディド)、内閣の建物とその向かいのArnarhóll hill(アルナルホトルヒル)という芝生の広場でもよく見られます。

- 優しい春の使者 -

アイスランドではムナグロは vorboðinn ljúfi(ヴォルボーデン・リューフィ)、アイスランド語で優しい春の使者という意味の美しいニックネームを持ちます。これは一般的に19世紀に人気だった詩の内容からつけられたと言われており、その詩の中では「ムナグロが歌い、雪を溶かしてしまう。」と歌われていたとの事です。アイスランドの民話でもムナグロは天気の予言者として大きな役割を果たしていて、今でも農家の方々はその動きに注目しているとも言われています。アイスランド語ではLÓA(ロア)という名前でありその由来は不明ですが一般的にはムナグロが出す音に由来すると言われ、その美しい名前は多くはありませんがアイスランドの女性の名前としても使われます。

- その誕生について -

アイスランドの民話ではこのムナグロは天地創造の5日目、すなわち鳥類が創られた日には創られずその後イエスによって生み出されたとされています。

伝説によれば、イエスのが幼いころに他の子どもたちと共にキリスト教の安息日に粘土で鳥の像を作っていたところ、サドカイ派がその行為は安息日をないがしろにするものであるとして罰するために子供たちの作った像を壊してしまいました。そしてその壊されてしまった像をイエスが一撫ですると命が吹き込まれ空に飛んで行ったと言われており、その時の鳥がこのムナグロであるとの事です。ちなみに前述の詩でもこの伝説については歌われています。

- ヨーロッパムナグロについて -

ヨーロッパムナグロはムナグロ、アメリカムナグロとよく似ていますがそれらよりも少し大きいです。それらよりもずんぐりとした体に短い足であり、脇下には雪のように白い羽を持ちます。一番の特徴とされるのは頭頂部から腹部にかけて描かれる白いSの字ラインです。

春夏にアイスランドではその他の渡り鳥として知られるシギ等とともに全土で観測されます。冬季はイギリスや西ヨーロッパ、北アフリカの各所で過ごして夏季に北極圏のアイスランドから西シベリアにかけて在るツンドラ地域や荒地に移住をします。

- ハンティング用の鳥として -

ムナグロはヨーロッパで最も速いハンティング用の鳥としても競技において扱われますが多くのアイスランドの人々はこれを非常に残忍な行為、神への冒涜としてとらえています。

ヨーロッパムナグロは現在300,000~500,000羽が生息しているといわれ絶滅が危ぶまれている種ではありませんがアイスランドでは保護対象となっており、その狩猟や殺傷は法律で禁止されています。